社会政策科学科
社会政策科学科は、社会的課題を発見・分析し、それらを解決するための政策づくりを学ぶ学科です。現代社会には解決すべき課題が数多くありますが、この学科の学びが共通して目指すのは、市民の視点からより良い社会の創出に参画できる人材を育成することです。そのため、経済学、経営学、財政学、行政学、法律学、政治学、社会学など、数多くの分野にわたる多彩な授業が用意されています。社会学部の中でも特に学際的な学科ですが、それは、政策課題を多面的に捉え、それを多様な方法を用いて分析することが必要だからです。
ただし、学問分野が違えば、依拠する概念や理論枠組みだけでなく、資料やデータの扱い方もそれぞれ異なります。転入学・編入学を希望するみなさんは、自分がどのような政策課題にとり組んでみたいか考えるとともに、それらをどの分野の研究者がどのような方法で分析しているかについても調べてみて下さい。各分野の方法的な特性を理解し、これを身に着けなければ、客観的な証拠に基づいた説得力のある政策提言はできるようになりません。
そのためにまず、社会政策科学科のカリキュラムの全体像を眺めてみて下さい。とりわけ、2年次から転・編入する上で、1年生がすでに何を学んでいるかを知っておくのがよいでしょう。「法政HONDANA」というサイトから、社会学部の『履修要綱』のデジタルブックを読むことができます。その巻末に掲載された「社会政策科学科授業科目一覧」を見ると、1年生が履修すべき学科の「専門科目」が分かります。そして、別途オンライン公開されている「WEBシラバス」を開き、これらの授業の今年度のシラバス(講義概要)を読んでみて下さい。各回で扱われる内容のキーワードについて調べたり、入門科目のテキストを手に取ってみると、1年生が学ぶべき内容が分かるはずです。
社会学科
「社会学は何を研究する学問なのかわかりにくい」とよく言われます。たしかに、研究対象が比較的に明瞭な経済学や政治学と違い、社会学はその対象によって定義することはできません。経済や政治を含め、あらゆる「社会」に関する現象が社会学の研究対象です。家族や宗教、社会格差や貧困、恋愛や教育、地域共同体やNPO、移民やエスニシティなど、人が集まり、そこになんらかの関係性や形成されていれば、それだけですでに社会学の研究対象となります。しかし、どのような社会現象をあつかうにせよ、絶対に譲れない学問的な意義が一点あります。それは、日常的に私たちが「当たりまえ」に思っている物事を疑い、その背後に潜んでいる深層を探求するということです。ピーター・バーガーという社会学者は、「社会学の魅力は、今までの人生を通じて生き続けてきた世界を、社会学の視覚によって新しい光の下で見直すことを可能にしてくれることにある」と述べていますが、まさにその通りだといえるでしょう。
とはいえ、そのような探求は、単なるその場の思いつきでできるものではなく、厳密な学問的な手続きを必要としています。社会学を勉強するためにはまず、社会学における分析の方法や、その説明で用いる概念や理論について学んでおく必要があります。転編入試験で社会学科に編入を希望する方々にも、社会学の方法・概念・理論に関する基礎的な知識を習得しておいてもらいたいと思います。そのためには、社会学の入門的なテキストを少なくとも一冊きちんと読み、社会学の幅の広さについて慣れるとともに、その独特の用語法をマスターしておいてください。
巷には大学生のための社会学の入門書が数多く出版されていますが、とりあえずわかりやすいものとして以下の一冊を推薦しておきます。
- 宇都宮京子/西澤晃彦編著『よくわかる社会学(第3版)』(ミネルヴァ書房)
メディア社会学科
テレビ、新聞、広告、インターネットなど、私たちは様々なメディアを介して情報に触れ、メディアを通して社会を見ています。直接に目で見たり人から聞いた情報に比べると、メディアから得る情報は実に膨大です。しかしそうだとすると、私たちが知っている(と思う)社会は、たまたまメディアが提示した社会にすぎず、ホンモノの現実とは言えないのかもしれません。
私たちをとり巻くメディア環境は急速に変化しています。家族みんなで同じ番組、同じCMを見る時代は過去のものとなり、各自が好みの端末、好みのアプリやサービスを使って、そのつど選択的に情報に触れています。しかしこうした環境では、自分で選択したと思う情報は、誰かがAI技術を使って自分の好みにあわせてしつらえたものかもしれません。
メディア社会学科には、メディア表現コース、メディア分析コース、メディア設計コースの三つが用意されています。まず転入学・編入学試験の前に考えてほしいのは、メディアを通して「表現」すること、メディアについて「分析」すること、メディア環境を「設計」することを、なぜ学ばなければならないのかです。正解は一つではありませんが、ここで述べてきたことがヒントになるでしょう。
メディア社会学科は、幅広い視野と先見性をもった人材の育成を目指しています。メディアは誰もが日常的に触れる、身近なものと言えます。しかし、自分がすでに知っているメディアの「当たり前」にとらわれず、メディアがもたらす幅広い影響を捉えるようにしてほしいと思います。ローカルな出来事とグローバルな現象との関係、過去からの変化と未来への展望にまで視野を広げて、メディアを学ぶことの意味を考えてみて下さい。例えば、オンライン公開されている「WEBシラバス」上でメディア社会学科の各科目のシラバス(講義概要)を読んでキーワードを調べてみると、メディアを学ぶことの幅広さが分かるはずです。
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