私たちの周りにある道路や橋、鉄道、ダム、ビルなどの建物は、ほとんどがコンクリートでできています。このコンクリートでできた建物を長く使えるようにするための研究を当研究室で行っています。具体的には、使われるコンクリートの性質(どれくらい強いのか、暑さや寒さにどれくらい耐えられるのか等)を調べたり、コンクリートでできた構造物がどれくらい傷んでいるか調べる方法や傷んだところを治す治療法(補修方法)を開発したりしています。
コンクリートを構成する材料の一つであるセメントを1トン製造するには、約700kg のCO2 が排出されます。このCO2 を削減するために製鉄所から出る副産物(スラグ)や火力発電所から出る灰(フライアッシュ)をセメントの中に混ぜ込んで、CO2 の排出量を減らすとともに、スラグなどの副産物の有効利用を行うまさに一石二鳥のセメントの研究を当研究室で行っています。また、コンクリート構造物には様々な病気があります。その中に、塩分を取りすぎて起こる塩害があります。この塩害を早期に発見する方法として、レーダを用いてコンクリート自体を壊さないで調べる方法を当研究室で開発しました。この他にもコンクリートの中の鉄(人でいうと骨に相当するもの)が錆びてボロボロになっていないかどうか赤外線を使って調べる方法についても研究中です。これらは、建設されて古くなった構造物を調査するのにとても役立つ方法です。さらに、コンクリート中の砂や砂利が化学反応を起こしてコンクリート自体をボロボロにしてしまう病気(アルカリシリカ反応)を抑えるための薬品(補修材)の開発とその効果についても研究しています。当研究室は、皆さんの最も身近にあるコンクリートについて様々な研究・開発を行っています。