都市に集中する人口の受け皿として、量的な充足に追われてきたまちづくりは、大きな変革点を迎えています。今後、総人口が減少へと転じていく中で、これまで造ってきた都市を適切な規模に集約し、その質を向上させていくことが求められています。美しく快適な都市を造るための取り組みは全国の市町村などで続けられてきてはいますが、その目標や方法は未だ不透明と言えます。当研究室では、都市デザインを広い概念で捉え、気候風土や地域の持つ地形的要素等と都市基盤、土地利用の調和など、その場所にふさわしく、そして美しいまちづくりの内容と方法について研究しています。
当研究室の卒業生、修了生の進路は、都市づくりを具体的に進める発注者側である行政(市町村)と、その受注側である民間コンサルタントなどが中心になっています。長く民間のコンサルタントとして全国の街づくり実務をしてきた自身の経験を活かし、研究対象は都心部から地方まで幅広く、構想から実現性までを追究しています。テーマにより現地調査や実測調査を行うほか、有志による街づくりアイデアコンペへの応募や学会発表、各種講演会への参加など、アクティブに活動しています。都市デザインの実践において大切なのは、有言実行の行政施策の普及ですが、現在は往々にして建前主義や最小限の実行に留まっています。研究者として実務経験を生かしつつ、行政施策のあり方を追求し、その方法論や参考例を整備したいと考えています。