日本の街はひとつひとつの建物が集合して形成されていて、ひとつの建物が変わると街全体が変わる可能性を秘めています。私の研究室では、単に建物単体をデザインするだけでなく、建物のデザインによって周囲の街の環境全体が更新していくような建築のあり方を研究しています。建築と都市を同時に考える素養を培うことで、幅広く建築設計分野で活躍できる人材を社会に輩出しています。
建築は、わたしたちの快適な暮らしや豊かさを支える大切な社会基盤です。より良い建築を考え、実現することは私たちの生活の向上に大きく寄与します。
地域にふさわしい、あるいは新しいスタイルをもつ建築を創出するためには、社会の動向や人々の振る舞いを丁寧に洞察し、その歴史を学ぶことで、批評的な感性を養うことが不可欠です。現代社会と連動した建築を構想しなければ、生き生きとした人々の暮らしを支えることはできません。
また、建築は〈かたち〉が伴います。どんなに優れた思想をもっていても、〈かたち〉として実体化しなければ意味を成しません。そもそも、モノをつくるという創造行為は、人間に備わっている素晴らしい資質であり、建築は人間の崇高さが連綿と堆積した文化資産なのです。
建築を学び、考えることは人間と向き合うことであり、その〈かたち〉を模索することは人間本来の創造性を喚起することでもあります。
以上の観点から、私の研究室では街に出て調査し、手を動かしてスケッチや図面を描き、模型を制作し、ディスカッションを重ねながら、現代的な視点で、建築空間や都市空間の研究を行っています。