私は幾何学(図形を研究する分野)と解析学(関数を研究する分野)に現れる最大最小問題を研究しています。
私が気に入っている幾何学の最大最小問題の例を紹介します。Dを平面上の円板(円の周および内部)とします。Dに含まれる三角形の中で、面積が最大となるものは何でしょうか? 答えはDに内接する(すべての頂点がDの境界上にある)正三角形です。
私は、人類が今まで知らなかった事実を発見することには意義があると考えています。私は人類が今まで知らなかった数学(特に幾何学と解析学)の事実を発見しようと努力し、ささやかですが成果をあげてきました。この意味で、私の研究は社会に活かされています。
もう少し具体的に私の研究と社会との接点を述べます。私は関数の最大点(最大値を与える点)が1個以下になるための十分条件を研究しています。最も基本的な十分条件は上への狭義凸性です。例えば、グラフが上に凸な放物線である2次関数と底が1より大きい対数関数はどちらも上に狭義凸です。それぞれの最大点は1個と0個です。上に狭義凸でなくとも最大点が1個以下である関数もあります。例えば、正規分布の確率密度関数は上に狭義凸でないですが、その最大点は1個です。
私たちは複数の選択肢から1つを選ぶとき、しばしば、「利益を大きくしたい」を基準とします。利益を関数で記述できれば、「利益を大きくしたい」は利益を記述する関数の最大点を求めることで達成されます。私の研究は求めたいものの情報を与えています。この意味で、とても大げさに言えば、私の研究は社会で活動する人々の意思決定に貢献しています。