人はなぜ、あるモノを「よい」と感じて選ぶのでしょうか。そこには、感覚だけでなく、記憶や文化、意味づけの働きが深く関わっています。本研究室では、消費者心理やデザイン理論を軸に、人がどのようにモノを受けとめ、どのように価値を見出しているのかを、科学的に解明します。何気ない日常の選択の背後にある、心のメカニズムを丁寧にひも解いていきます。
私たちの暮らしには、日々たくさんのデザインがあふれています。お菓子のパッケージや駅のポスター、SNS広告など、一見何気ない表現も、実は「どう感じられるか」「どう伝わるか」によって、行動や印象に大きく影響を与えています。本研究室では、そうした感性のはたらきを観察・実験・データ分析などを通して明らかにし、その成果を社会に還元することを重視しています。たとえば、生成AIが提案したデザインと、人間が考えたデザインの印象の違いを比べたり、Z世代の意見を取り入れて商品やブランドのコンセプトを見直したりする研究も進めています。また、「このデザイン、どこかで見たことがある」という“似ている”という印象が、国や文化によってどう違って感じられるかを探る国際的な比較研究も行っています。
こうした知見は、新商品や広告、公共サービスのデザインなどに応用され、企業や自治体との共同研究としても社会で活かされています。感性と社会をつなぐ実践的な研究を通じて、文化や技術の変化を読み、人の心に届くデザインのあり方を追求しています。