建築設計は、目に見えるかたち(形態)をデザインすると同時に、建築内外の境界面を介して出入りする空気や熱、光などの「かたちのないもののふるまい」をデザインする行為といえます。これには、現象を適切に解析・把握する科学的態度と技能が不可欠です。本研究室では、意匠と工学を横断する「環境デザインエンジニアリング」をテーマに、数理的手法やモデリングを活用して、建築形態とエネルギー・物質のふるまいとの関係性を探求しています。
さまざまな発電技術の小型化と都市部への普及が進む中、エネルギーの生産から消費までを包括的に捉える視点が重要です。また、都市や地域におけるエネルギー転換が急務とされる現在、都市を構成する既存建築に対する具体的なエネルギー改善策は、依然として十分とは言えません。都市に新たな建築を提案するだけでなく、既存建築に対する改善提案や実行も必要です。こうした都市部のエネルギー課題に対しては、技術的な解決策だけでなく、建築空間デザイン、さらに私たち自身の理解と行動を伴ったエネルギーマネジメントが求められます。本研究室では、建築環境・エネルギーに関する数理モデルの開発と試行を通じて、都市環境におけるエネルギー動態の把握と積極的なエネルギー行動の実証に取り組み、住まい手が主体的にエネルギーを管理できる住環境を目指しています。