研究室の学び
私の研究室では、理科における学びのデザインを研究テーマとして取り上げています。具体的には小・中・高・大の教育現場でどのような授業を行えば深い学びに繫がるか、教育方法、授業研究、教材開発、評価方法などの理論的で実践的な研究を行っています。理科の教育に関する専門性の高い教師の育成や、科学をいかに易しく楽しく正確に伝えることのできるサイエンス・コミュニケーターのような人材の輩出を目指しています。
社会との接点
当研究室の学びのデザイン研究は、皆さんの最も身近にいる学校の先生方に役立っています。それは先生方がどのような授業を行えば、生徒が自らから学べるかで日々悩んでいるからです。学びは入試のためにあるのではなく、生涯を通じて社会と関わりながら、自ら学び、問い続けることが大切です。当研究室の目的は「学び続ける問いとは何か」の追究であり、その学びを促進者(ファシリテーター)である理科の専門性の高い先生を育ていくことです。研究の一端を紹介すると、様々な社会の諸問題を、科学の力でアプローチする授業の試みです。例えば「遺伝子組換え食品」「放射性廃棄物の処理」「プラスチックの未来と環境」「With Corona」などです。これらは科学だけでは解決できない問題(トランスサイエンス)であり、どのようにアプローチして合意形成を図り解決に至るかのシミュレーションを通じて、科学的な根拠に基づく意思決定のプロセスが学べます。実際に多くの生徒がこの授業を通じて、協調的に問題解決の方略が学べた、学ぶ必然性を感じたなど成果が上がっています。この研究をさらに進めることで、SDGsのような持続可能な未来の社会で活躍できる先生、学び続ける先生が多数現れることを期待しています。