私の研究室では空と宙のごみ問題をテーマとしています。航空分野では、航空機材料として適用範囲の拡大している炭素繊維強化プラスチック(CFRP)のリサイクルを目指し、高強度リサイクルCFRPについて研究しています。宇宙分野では、宇宙機から発生するごみの生成メカニズムや、宇宙ごみを生成しにくい構造材料について研究しています。
CFRPは軽くて強い材料なので、航空機への適用が拡大しています。最近はCFRPの製造コストが下がってきており、建築物・自動車・スポーツ等、様々な分野での利用も急速に拡大している材料です。しかしながらリサイクル方法がまだ確立しておらず、現状ではCFRP廃材の9割以上が埋立処理されてしまっています。当研究室で行っている高品質なリサイクルCFRPの研究によって、リサイクルCFRPが色々な分野へ適用できるようになることが期待され、研究が進めば埋立処理されるCFRPを大幅に減少できると考えています。
宇宙環境では、ゴミが一度発生してしまうと、地球大気圏へ再突入して消失するまでに、放っておくと何百年もかかってしまうことも多くあり、自然減少が期待できません。宇宙環境を今後も利用していくために解決しなければならない、新しい環境問題です。宇宙には国境がないので、国際的なルール作りが進められています。当研究室で行っている宇宙ごみ生成メカニズムの研究は、宇宙ごみの危険性を正しく把握して、宇宙開発と環境保護を両立させるルール作りに貢献しています。