人口増加や気候変動,生き物の大幅な減少など,食・農・環境を取り巻く問題が国内外を問わず顕著になっています。これら問題の解決には科学技術だけでなく,それを制度や政策として社会に実装することも不可欠です。そこで当研究室では,植物医科学の専門知識を背景に,経済学を中心に社会科学の観点からデータを用いた実証分析により,農業・環境問題の解決につながる研究を行っています。
2050年に世界の総人口は97億人に達する見通しの一方,人口増加や経済発展により,国際的な食料需給は中長期的に逼迫する懸念が指摘されています。それゆえ,世界の人口を賄うのに十分な食料の確保が今後も不可欠です。
しかし,世界の主要な作物は病害虫によって生産可能な量の40%が失われているという報告があります。また,農地開拓のための森林伐採や,農薬の過剰使用による生き物減少など,食・農・環境の調和が大きな課題となっています。
そこで本研究室の学生には,外来病害虫による農産物への経済的被害を明らかにしたり,AIなど新規技術に対する農業者の採用意向とその要因を探ったり,有機農産物などの環境に配慮した農産物に対する消費者の評価を明らかにする等をテーマに,文理融合による学際的研究を行い,その成果を広く社会に還元していって欲しいと考えています。