当研究室は、フィールドサーベイと設計をつなぐことがテーマです。「建築がどこから始まり、どこへ向かうのか」は、大きな命題の一つと言えます。世界には多種多様な都市と建築が存在し、特に土地の風土や歴史、取り巻く自然環境と一体化した都市には、建築のルーツがあると考えます。当研究室は、フィールドサーベイを通して文明発祥の都市や普遍性のある建築の調査を行うことで、建築の本質を探り、そこで得た知見を設計につなげることを学びます。
建築をつくることは、その土地がもつ歴史や記憶、地形、風土、文化などを丁寧に読み解き、人間活動を豊かにする、時間をも超えた創造的な行為です。建築とは人々に感動や安らぎ、刺激などを与え、感性を増幅させるものなのです。 しかし今、自然災害やパンデミックなどで環境や社会が激変し、都市や建築のあり方が根本から問われています。そのために必要なのは、都市や建築を本質や原点から見つめ直すことだと考えます。当研究室では、歴史的な建築や都市空間をフィールドサーベイによって紐解き、過去の建築がどのような環境で何を実現しようとしたのかを学びながら、次世代に引き継ぐ建築テーマを考え、それと同時に実践的な設計も行っていきます。過去に学ぶということは、未来を創造することなのです。 これからの建築デザインには、建築単体としてだけではなく、社会や街、暮らしとの密接な繋がりが必要不可欠であり、設計とは社会的責任を学ぶことでもあります。当研究室は実際の建築プロジェクトを通して、フィールドサーベイで得た知見を設計へと昇華させることを学び、自分自身の成長につなげてほしいと考えます。