植物の病気を防ぐためには、まずその個々の病気の発生の生態や生理を理解する必要がありますが、植物病の中にはその病原すら未解明のものも少なくありません。本研究室では、そうした様々な植物病、特にウイルス病害を中心にその病原を解析するとともに、発生生態や発病メカニズムの解析を行っています。そして、これらの解析をもとにして、植物病のより簡便で精度の高い診断法の開発に取り組んでいます。
図1. 光学顕微鏡による診断
植物の病気の中には病原が未解明のものも少なくありませんが、その原因の一つには流通のグローバル化や地球温暖化の影響で海外から病原が国内に侵入して、新たな植物病が発生することが考えられます。
こうした未解明の病気の原因や生理生態を解明することは、我々の生活に無くてはならない植物の健康を守るために最も重要な植物医科学の使命であると言えます。例えば、近年日本に感染を拡大している植物ウイルスにトスポウイルスというものがありますが、そのゲノムを解析することで、海外のどのグループのウイルスと近縁かが分かりますし、同時に遺伝子診断に役立つデータの蓄積になり、より精度の高い診断法の開発に結びつけることができます。
こうした研究により、植物の健康を守ることに貢献していきたいと考えています。
図2. PCRによるウイルスの診断