医療用デバイスの性能を向上させる機能性材料の開発に取り組んでいます。特に、ものの表面に着目し、様々な分子でコーティングすることで、もとの物質とは全く異なる特性を持った材料を作ります。生体材料に求められる機能を発現させるために、コーティングに使う分子の設計と表面での構造制御の知識、さらにコーティングの化学反応を制御する化学工学という学問について学び、ものづくり全体を見通してプロセスを考える力を育みます。
医療は日々進歩していますが、それは医師をはじめとする医療資格を持った方たちの力だけで成し遂げられているわけではありません。医療技術の進歩や新薬開発と同様に、治療に使う道具の進歩も不可欠であり、その進歩を支えているのは工学の技術です。今までにない優れた機能を持った材料を作ることができれば、それを使った新しい治療法が確立されることもあり、間接的ながら医療に及ぼす影響は非常に大きいといえます。
医療デバイスは人の健康や命に関わるものですから、医師や医療機器メーカーと協力して開発を進めます。デバイスとして高い性能を有していることは当然求められますが、生体組織と直接接触するため、人の身体に馴染むもの、いわゆる生体適合性に優れた素材でなければならず、解決すべき多くの開発課題があります。大学が医師、機器メーカーと密接な関わりを持って研究を進めていくことにより、実際の医療現場で真に役に立つ研究開発が可能になります。また同時に、この取り組みの中で大学だからこそできる基礎研究を行い、普遍的な知見を発信することで、これから先の社会の発展にも大いに貢献できるものと考えられます。