高校の生物で光合成について学習している皆さんも多いことでしょう。教科書にはすべてわかったように書いてあるかもしれませんが、光合成分野には、光合成の仕組み、光合成を駆動する光合成装置が組み立てられる仕組み、光合成装置の安定性を保つ仕組みなど、まだ未解明な問題が多く残されています。私達の研究室では、光合成を解析するための様々な方法を学びながら、皆さんの柔軟なアイディアを生かして光合成の未解明な問題の解明を目指します。
福島の原発事故以来、原子力に変わる安全で持続的に獲得可能なエネルギーの開発が期待されています。シアノバクテリアや陸上植物は非常に巧妙にエネルギーを獲得するシステムをもっています。それが光合成です。光合成はクリーンで安全なエネルギー変換システムの代表例で、太陽の光エネルギーを源にしているため、持続的に反応を行うことが可能です。私達は、生物のもつ光合成装置に対する深い理解が、新しいエネルギー開発には欠かせないものと考えています。また、最近、世界的な人口増加に伴う食糧問題が深刻化しています。これを解決するためには耕地面積を広げることが必要です。すなわち、砂漠など栽培が困難とされていた土地でも作物を健康に育てられるようになれば、耕地面積を広げることができるでしょう。このような農業問題にも光合成は深く関わっています。また、地球温暖化など地球規模での気候変動が危惧されていますが、気候変動で大きく影響を受けるのが光合成です。気候変動で光合成はどのように変化するでしょうか。このように研究室での光合成についての学びを通じて、世界における様々な社会問題、エネルギー問題などを深く理解し考えることができるようになると考えています。