細胞機能分野 再構成細胞学研究室

教授 金子 智行

教授 金子 智行

Tomoyuki KANEKO

研究室の学び

私の研究室では、細胞を構成する各要素から細胞を再構成する研究テーマと、細胞から組織や器官を再構築する研究テーマを取り上げています。具体的には、細胞膜を構成するリン脂質から人工脂質膜小胞であるリポソームを作製する研究や、心筋細胞を1 細胞ずつ配置することにより、心臓の構造や機能を再現した細胞ネットワークを構築する研究を行っており、創造性豊かな人材を社会に輩出しています。

社会との接点

当研究室で行っているリポソームの研究はドラッグ・デリバリーシステムと呼ばれる薬剤を患部にだけ届ける方法として応用が期待されています。例えば、がん細胞を認識する抗体をつけたリポソームに抗がん剤を封入して血管内に注射することにより、がん細胞にだけ接着して抗がん剤を作用させることが可能となります。また、リポソームは細胞膜の主成分であるリン脂質からできていることから、化粧品としても注目されています。しかし、リポソームの基本的な性質は不明な点が多く、基礎的な研究からデータを積み重ねています。

もう一方の細胞から組織や器官を再構築する研究は、心臓と同じ構造や機能を持った細胞ネットワークを構築することにより、薬をつくるための創薬スクリーニング技術や薬の副作用を調べるための心毒性検査技術への応用が期待されています。これは細胞ネットワーク技術と細胞外電位計測システムを組み合わせることにより、電極基板上に心臓と同等の細胞ネットワークを作製し、心電図と同じような電位変化を測定可能にするものです。この技術をヒト心筋細胞に応用することにより、創薬における心毒性検査が迅速かつ正確に行えることが期待されています。

主な研究テーマ

  • リポソーム形成能におけるリン脂質組成の影響
  • 新規のリポソーム内への物質封入法の開発
  • 封入タンパク質によるリポソームの形態変化
  • 単一心筋細胞の細胞外電位の解析
  • 微細加工技術を用いた心筋細胞ネットワークの再構築
  • 伸展刺激による心筋細胞の方向性制御
  • 細胞外電位記録による心毒性検査技術の開発
© Hosei University
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