すべての物質は原子からできており、原子を構成するのは原子核と電子です。これらは極めて小さいので目で見ることはできません。しかし原子はそれぞれの元素の種類に特有の光を吸収したり放出したりするので、レーザーを用いて原子の存在を観測することができます。このレーザー分光学と呼ばれる分野は現代科学において、おそらく最も有効桁数の高い測定を行うことのできる学問であり、私たちはこの方法で原子や分子、原子核について調べています。
物理学は基幹となる原理から物ごとを説明する「もののことわり」です。その中で、有効桁数の極めて高い測定を行うことのできる学問であるレーザー分光学は、究極的には素粒子・原子核を始めとする物質の基本や宇宙の根元に迫る有力なツールになります。私たちの研究はレーザーを使って原子の性質を詳しく調べることで、その構成要素である原子核についてまで詳しく調べるというものです。
実は究極の測定を行うためには、単に機械を買ってきて実験するだけでは十分でありません。レーザーや測定装置を手作りすることが必要となることもあります。本研究室では、レーザー物理実験を通して自然の奥深さに触れることと、そのための測定装置の改良開発といった工学的技術の両方を学んでいただきます。
また卒業研究においては、目標を設定し、必要な情報を得るための資料探索、学習、遂行計画、装置製作、実験、まとめ、発表という一連のプロセスを行います。このプロセスをやり遂げることが、みなさんの基礎的な地力となって社会でどのような職業に就くにせよ、役に立つ力となることを期待しています。