私達の周囲には、様々なハードウェアやソフトウェアがありますが、使いやすさなどユーザ側の視点が十分に考慮されているでしょうか。また一方で、日々進化するセンサなどのハードウェアやソフトウェアを使って、高齢者/ハンディキャップ者をはじめ、人々にとってより暮らしやすい環境や、より使いやすい道具を、作れないでしょうか。私の研究室では、きっとそれらへの答えの幾つかを見つけることができるはずです。
極めて具体的には、過去、自動車のインパネ(速度計などの計器、その他の表示系や各種のスイッチなどの操作系が配されている)上の表示器の位置による、情報読み取り難易度の違いについての実験を行ったことがあります。近年のある自動車を見ると、その実験で得られた結果が、役立てられているであろうことが、見て取れました。
このような直接的な例は稀ではありますが、私の研究室での学びを通じて、ヒトというものについて、そしてヒトに優しい(易しい)環境や道具(ソフトウェアを含む)についての理解を深めて卒業していった学生は、数多いことと思います。
このような本質的な部分以外にも、実験装置を準備/改良していくなかでコンピュータ・ソフトウェアや各種の電子回路に関わる様々なセンスや技術を獲得することができます。多くの卒業生が、(特にソフトウェアについては)そのような過程を経て得たものを、社会に出た後にも役立てていることでしょう。これは単に、ソフトウェアやハードウェアについて学んだということではなく、学びの方法を会得したはずです。したがってそれらの進化にも、将来にわたって対応していくことができるでしょう。