主に音やことばを対象とした研究に取り組んでいます。人間は、コンピュータが作られる前から、楽器を作ったり、ことばを使ったりしています。しかし、実は、それらのしくみの全てが完全にわかっているわけではありません。そこで、実際の音やことばのデータを記録してコンピュータを使って分析しています。その結果、現象が起きるしくみをコンピュータの中に作り上げる、つまり、コンピュータの中にそれらの現象の「模型」を作るのが研究の目標です。
夢のような研究であればあるほど、社会との接点は何年も後に生じます。私が学生時代から手がけていた音声認識の研究も、iphoneのsiriやロボットなどで一般的になるまでに20年以上もかかりました。したがって、今、皆さんが目にできるような研究と社会との接点は、全て過去のものです。音声やことばの分野での、そういった輝かしい過去としては、siriのような音声対話、初音ミクやDTM,シンセサイザーのような音楽音響情報処理、googleのような情報検索などがあげられます。これらの技術を実現するためには、実は、物理や数学、国語などの分野が役に立っています。これらの分野の規則をプログラムにすることで、コンピュータでいろんなことを実現しています。逆にいえば、音声の技術が遺伝子解析に役立つなど、いろんなことに役立ちます。したがって、卒業生も、グローバルIT 企業はいうまでもなく、電機メーカーや自動車会社の研究所から、レコード会社やテレビ番組の制作会社まで多様な場で活躍しています。オープンソフトウェアの開発を手がけて、それに関連する書籍を執筆したOBもいます。
卒業研究から積極的に学会や国際会議で発表して成果を世の中に発信しています。