本研究室では、数理ファイナンスの研究を行っています。数理ファイナンスでは、数学を用いて金融の問題にアプローチします。株価などはランダムに変化するため、数学の中では、特に確率の知識が必要になります。株のようにランダムに変化するものと関係した金融商品に適切な値段を付けるにはどのようにすべきか、金融機関が負っているリスクをどのように計測すべきか、リスクとのバランスを見ながら投資をするにはどうすべきかなどを研究しています。
本研究室での研究は、銀行や証券会社のクオンツ、保険会社のアクチュアリーと呼ばれる職と強く結びついています。これらの職種は、金融機関で数理的な仕事を行っています。例えば、物資をアメリカから輸入している会社では、円安になると購入資金が増え負担となります。このとき、為替リスクを回避するため、ドルを将来のある時点で、決められた値段で購入できる権利を金融機関との契約で得たとします。このとき、金融機関は会社側からいくらもらって契約をすれば良いのでしょうか。これが金融商品の価格付けです。ここには為替が将来のある時点までにどのように変化するか分からないといった不確実性が関係するため、確率の問題として考える必要があります。別の例を考えてみましょう。銀行はお金を預金してもらい、その預金を資金が必要な企業に貸しています。その際に、貸したお金が返ってこなくなるリスクを負うこととなります。そのリスクはどれくらいかを知っておくことは経営のリスク管理上必要となります。ここでも、将来的にお金が返ってくるのか、こないのかという不確実性がともない、確率の問題として考える必要が出てきます。これらはほんの一例でありますが、金融の世界と結びついた研究となっています。