私の研究室では確率的な変動を伴うシステムを数学モデルで記述し、これを適切に評価するための技術や効率的かつ効果的に運用するための方法論について学びます。この問題を解決するための道具としては数学、特に確率論と統計学、そして、コンピュータが必要不可欠です。数学モデルの構築を通して現実の現象の中から重要な要因を見出す能力を、コンピュータを用いた数値計算を通して数値から重要な情報を読み取る能力を養います。
どのようなハードウェア(システム)でも使用を続けるといずれ故障や異常が発生し、使用不可能となります。対象とするシステムが航空機や発電所、あるいはこれらを構成する重要な設備や機器である場合、故障や異常の発生は単なる経済的な損失だけでなく人命にも影響を及ぼし、結果的に社会的な混乱を招く可能性があります。本研究室では、このような故障や異常の発生により極めて大きな損失を伴うシステムを如何にして維持、管理、運用、そして廃棄していくかという問題を数学モデルによって解決することを大きな目的としています。このような問題は信頼性や保全性、安全性、品質管理、品質保証と密接な関係がありますので、本研究室で得られた研究成果や内容は製造現場での種々の問題解決に役に立ちます。また、上記のような問題を解決する上では確率論や統計学の数学的な理論の理解や知識が必要となることも少なくありません。統計学はデータ解析を学ぶ上でも非常に重要です。このため、近年注目されているデータサイエンスの分野で貴重な成果を挙げる際に必要なスキルを身に着けることもできます。