有害な燃焼生成物の低減を実現するため、試行錯誤
私が専門としているのは、燃焼工学という分野。身近なところだと低燃費で車を動かすようにしたり、家庭用コンロや暖房機など、燃焼機器の効率の向上につながる研究をしています。
具体的にお話しますと、今、クリーンエンジンとしてディーゼル機関がブームです。ディーゼルエンジンを使う上で、有害な燃焼生成物(二酸化炭素CO₂、一酸化炭素CO、窒素酸化物NOx、すすなど)を低減させていくことが重要。ですが、たとえばNOxを減らすには、燃焼温度を下げるのですが、COを減らすためには、燃焼温度を上げなくてはならない。複数の燃焼生成物を同時に低減するのは、大変困難です。それをクリアするための研究が、まずひとつめ。有力なのが、混合燃料(軽油に植物油系・廃油系を混ぜてエマルジョン化したもの)という新燃料。
条件つきですが、この混合燃料が、ある程度、同時低減できるというデータが得られてきています。
エコにつながっていく今、注目されるべきテーマ
深刻化する環境問題の緩和にもつながる、今後、需要の高まる分野だと思っています。
機械工学は、あらゆる製造技術分野を支える学問です。機械や構造物などに用いる工業素材の力学特性の精査、高齢化における医療・福祉の技術的応用、地球規模の環境問題対策、バイオメカニクスやマイクロマシンの応用など、機械工学が担う役割は多岐に渡り、需要も増しています。
機械工学専修では、次世代を見据えたエンジニアを育成する6つの履修モデルがあり、その1つが川上先生の教える環境・エネルギーコース。燃焼生成物の低減、エネルギー変換技術、再生可能エネルギーの開発など、環境問題に貢献する知識や技術が身につきます。授業で基礎を学び、複雑なエンジン研究を行う基礎実験装置を学生自らが作ります。自身が制作することで技術を培い、理解を深めます。ゼミでは学生1人ひとりがテーマを持ち、自分で研究を進めるので、プレゼン力、データ解析力も身につきます。
(㈱ライオン企画 『C-Style』法政大学 紹介記事より転載)