私の研究室では、食料と農業、これらと深く関わる環境の諸問題について、社会科学と自然科学の知識を融合的に活用して考えることを研究テーマとしています。具体的には、発展途上国の食料不足問題はなぜ起きるのか、地球温暖化による食料・農業への影響はどのように深刻なのか、遺伝子組換(GM)食品・農産物はなぜ社会一般に受け入れられないのか等々、身近なことから地球規模の大きな問題まで、幅広く調査分析に取り組んでいます。
私の研究室は、応用植物科学関連の自然科学的な知識だけでなく、社会現象を解明する社会科学的な知識も融合して活用する独特の研究手法をとっています。
例えば、GM食品・農産物を、どのようにすれば社会一般に受け入れてもらえるのか、世界の研究開発の現状はどうなっているのか、多国籍企業はどのように活動しているのか等を、科学技術的内容にまでしっかり踏み込んで調査分析し、日本での規制政策や企業の販売戦略を考えるのに役立ちます。
また、発展途上国の食料問題の研究では、私たちにとって身近なアジアの国々の食料・農業・環境分野で、どのような研究開発、新技術導入等の動きがあるのか、それらの影響や効果はどうか、それらの背景にあるものは何か等を探って、政府・関係機関が開発援助の方向を検討するのに役立ちます。
りっぱな自然科学研究の成果でも、実際に社会に受け入れられ、利用されなければ意味がありません。このような観点から、当研究室が取り組んでいる「文理融合的」アプローチは、今後食料・農業分野で起こり得る様々な問題の解決に役に立つと考えられます。