生命を構成する蛋白質は、独自の立体構造を持つ極小部品と言えるものです。蛋白質は人工的に作られた部品とは異なり、とても「柔らかい」構造を持ち、それでいて正確に仕事をこなすという特徴があります。環境に適応するための蛋白質分子進化や、情報伝達を担う蛋白質の立体構造に注目し、その機能発揮メカニズム解明を目指します。この研究のために、遺伝子操作・蛋白質作成・蛋白質構造解析・蛋白質機能解析などの技術を習得します。
蛋白質は栄養素として有名ですが、それは蛋白質の性質のごく一部でしかありません。生物は蛋白質を栄養素として取り入れて、自身の遺伝情報を使って自分専用の蛋白質に組み立て直して利用しています。生物の中では数万種類とも言われる多種多様な蛋白質が整然と働いています。そこには進化の痕跡が見受けられ、非常にうまく出来ています。逆に、蛋白質に異常があったり、うまく働けなくなると、病気として現れます。
蛋白質は不思議だ、生命の神秘だ、とオチをつけるといつまでたっても何もわかりません。蛋白質を物理化学の言葉できちんと理解するために研究を行っています。遺伝子工学、蛋白質工学、蛋白質立体構造解析、物理化学的実験手法を駆使して、蛋白質の構造と機能、蛋白質の分子進化、生物の進化、蛋白質の異常と病気の関連について考察します。学生さんには、生物・物理・化学・医学など様々な分野の知識と技術を身につけて、幅広い分野で活躍してくれることを期待しています。